AGING WELLの棟梁を務める大工の自邸でもあり当社一棟目のモデルハウスとなる「SHOW HOME-大工が暮らす木の家」は、ただ家を見るだけのモデルハウスや完成見学会ではなく、「暮らしと一緒に家を体験してもらえるSHOW HOME」として2022年末に熊取町に誕生しました。この記事では、そんなSHOW HOMEの土地探しから設計、工事完成公開に至るまでの出来事を少しずつご紹介していきたいと思います。
前回の記事:【MODEL COLUMN vol.02-設計編】建築士による現地調査・環境調査
土地を見て感じたイメージを膨らませる
ゼロから1を生み出すこと
その土地が持っているポテンシャルを最大限に引き出すために、交通量やその場所で聞こえる音など、周辺の環境を調査し暮らしのイメージを膨らませることが大切です。全面道路は細いですが近くの住宅団地への抜け道になっていてバイクや自転車がよく通ります。学校が近いということもあり朝は通学の学生たちで賑わいます。また近所の人たちの散歩コースにもなっているので、細い道でもかなりたくさんの人が通るなぁといった印象でした。道路に対して開きすぎないよう配慮するのと同時に、「カッコよく造ってたくさんの人たちに見てもらいたい!」と思い設計を始めました。
建物配置計画-ゾーニング
80坪くらいのゆとりがある敷地だったので、自由に計画できる分建物の配置計画はかなり迷いました。
実際住んでみる気持ちになって、どこでくつろぐのが一番気持ちいいのか、どんな庭でどんな遊び方をするのかを、道路側から敷地を見たり、敷地から道路を見たり色んな角度で考えていきます。
①敷地の東側は道路に面していて反対の西側にはハイツが建っているので、ハイツを隠すように西側にまとまったボリュームを持っていき道路側に庭を造ろうか?
②南側にお隣さんが建っているけど十分距離を取れる敷地なので北側に寄せてお隣との間で遊ぼうか?
最初はこの2パターンから考えていきました。
何日か考えるといくつかの案が出てきました。どの案もいい所もあれば悪いところもあるといった感じでした。
①の西のハイツ側に寄せるパターンだと東面の日照がメインで、東西に長く建てることもできるのにもったいないなぁという感じと、道路側に開いているのでプライベートの確保にも苦労しそうな印象でした。
②の北側に寄せて南側を広く空けるパターンは、太陽もしっかり取り込めてしっくりきたプランもありましたが、1点だけ思ったことが、「一生ハイツの壁を見ながら暮らすのか」ということでした。塀や植栽などでカバーできますが、何か設計の段階で工夫できないかと考えました。
見えてきたこの土地での暮らし
この日は、ブランドの設計監修としてお手伝いしていただいている、株式会社アトリエさんかくさんの事務所にてプランの打ち合わせがありました。それぞれが考えたプランを出し合って、どういった方向性でプランを進めるのかを考えていきます。いつもは耐震性やコストの面から、なるべく凸凹しない整形のプランを考えることが多いのですが、アトリエさんかく代表の谷口さんから「L字っていうのもありなんじゃないか?」という言葉がありました。そのとき「それだ!」と何か体に衝撃が走ったことを覚えています。僕が考えていた①や②のどちらも取れるいいとこどりな発想で、庭遊びの可能性も格段に広がりました。今まであったモヤモヤが晴れ、一気に暮らしのイメージが膨らんだそんな瞬間でした。
この日からL字を中心にプランを練り直していきました。