長野県の建築視察ツアー

2024.05.15

こんにちは。AGING WELLの大工×建築士の野澤万里です。
今回は、先日参加した長野県の視察ツアーについて書き記したいと思います。いつもお世話になっている「ひとさじのこと」さんが企画してくれたツアーで、佐久市のローエナジービルディング認証を取得したオフィス・軽井沢のパッシブハウス取得(申請中)住宅・パッシブ換気を取り入れた新築住宅を視察しました。ツアーは5月の連休前で、長野県は桜が満開でした。

 

 

佐久のローエナジーオフィスへ

視察の一件目は、佐久市にある木下建工さんのオフィスです。ガルバ・杉板・ガラス貼りで三角屋根の迫力あるファサードです。左右異なった軒の出が印象的でした。

 

 

まずは、今回のツアーの共同主催であるロングライフラボ(LLL)の清水さんより、今の日本の現状や今回の旅の趣旨などをご説明いただきました。清水さんは大手窓メーカー勤務中に断熱工法FCを立ち上げ、地域工務店で勤務したのち、ロングライフラボを立ち上げたそうです。15年ほど前に勤務していた工務店では、当時標準としていた等級4の性能を現在の等級6まで引き上げたそうです。その時代に等級6を標準にしていたことに驚きました。

現在、日本の住環境にはルールがなく「北海道でも一枚ガラスの家が建っちゃう」と清水さんは嘆いていました。断熱強化の流れが進まない原因の一つに「一般の方が知らない」ということを挙げていて、ロングライフラボでは、一般の住宅取得者向けに断熱の大切さや、低断熱住宅の危険を周知する講演をされています。(野澤工務店もLLL賛助会員です)

「みんなが認知(知ること)→行動といった流れを作りたい。1人で100歩進むのはしんどいけれど、100人がそれぞれ1歩ずつ進めばそれは地球や社会にとって大きな一歩になる。」という言葉にすごく共感しました。

 

 

左が木下さん、右が清水さん

 

木下常務のお話

お話を伺った木下建工さんは主にトンネルや橋などの補修工事を事業として行い、老朽化したものを取り壊すのではなく補修して長く使えるようにするのだそうです。常に地球にかかる負荷のことを考えていて、橋やトンネルの材料となる鉄やコンクリートを作るために使われるエネルギー量についても教えてくれました。(鉄鉱石から鉄1㎏を作るのに2.2kのエネルギーが要るなど)

人類最大の課題は「カーボンニュートラル」、「地球の温度上昇を1.5℃以内に抑えないといけない」など現在の地球の課題を現実として受け止め、実際に動いている姿勢を感じました。

元々1000万円以上かけてリフォームしたオフィスを、ローエナジービルディングとして建て替えをするきっかけになったのは、冬場-5℃くらいになる地域で、窓の表面温度が1℃くらいになるような性能の家から、今のご自宅(高性能新築)に住み替えてからオフィスが寒くてしょうがないといったことからでした。元々の計画は、鉄骨造だったそうですが、木造建築の美しさや快適性から木造にシフトしたそうです。

 

 

旧社屋を木造に建て替えたことで、エネルギー使用量が1/4になったことや、家庭用のエアコン3台だけで400㎡のオフィスを空調しているなど驚くことばかりでした。オフィスならではの換気計画も詳しく教えていただきました。

木造の減価償却期間が短いこと、さらには給湯に対するエネルギー需要が住宅に比べて少ないので、高断熱化がダイレクトにエネルギーコスト削減(維持費削減)につながることを挙げ、木造のオフィスは長野県以外の地域でもかなり需要があるのではないかと話されていました。「ガソリン車が電気自動車に変わっていく中で、企業のオフィスが省エネ化に進む流れは必然」と伝えていただきました。

普段住宅ばかりを手掛ける僕にとって、400㎡というオフィスのスケール感はピンときませんでしたが、木下社長の「木造住宅3軒分」という表現にすごく納得し、できるかもしれないという気持ちにさせられました。「オフィス」は専門外でも「木造住宅3軒」なら得意分野です。

 

軽井沢へ

佐久から車で30分ほど走ったところにある軽井沢のパッシブハウス(申請中)を見学しました。ここではパッシブハウスジャパン(PHJ)の代表理事である森みわさんのお話を聞きました。 「信濃追分の家」キーアーキテクツHPより

パッシブハウスとは?
一言で表現するなら「地球のために、住む人のために、持続可能な家」です。→パッシブハウスジャパンHPより
※このページすごくわかりやすくまとめられているのでぜひ読んでみてください!!

森さんのお話は家のことでなく、衣服や食のことから始まりました。建築実務者ではなくエンドユーザーには、家の性能の話よりももっと身近な、衣類や食の話題から話すそうでとても勉強になります。エコハウスを作っていると言いながら、自分が着ている服や、毎日食べる食材がどのようにして作られているか知らなかった僕は、なんだか恥ずかしい気持ちになりました。

この家は「パッシブハウス=ダサい」を変えたくて設計したそうで、性能はもちろん、意匠や細部のデザインにもこだわっていました。日射のコントロールが一番難しいと言われる南西に振れた敷地の中で、南の角に大きなガラスを使った窓や、夏も冬も快適に、そして電気を極力使わなくていい太陽熱とペレットストーブでの給湯など、設備面でも勉強になりました。

 

 

長野市へ

視察ツアーの二日目は、長野の池田住建企画さんの現場視察と取り組みを発表していただきました。北海道で生まれた「パッシブ換気」という換気方法を長野で取り入れた住宅です。外気を基礎の中に作った窯場に取り込みエアコンを使って温め、各部屋につながる給気ルートを通って自然に流れていき2階にある排気口から出ていくという仕組みで、ダクトやファンが要らないそうです。BAQOOLのHPより

採用事例ははじめて見ましたが、ファンを使わないという省エネ性とダクトを使わないというメンテナンス性の良さがあると感じました。ただ、冬の空気の流れのイメージはできるのですが、夏の空気の流れがきちんとイメージできませんでしたので夏と冬の体感がしてみたくなりました。

 

 

池田さんの発表

現場から離れ、セミナー会場へ。池田さんのお話は工務店同士のコミュニティでのつながりが自分を変えたという話でした。元々は営繕事業をメインにしていた会社が注文住宅受注やさらには中規模の企業倉庫などを受注するようになったのは、新潟にある「住学」と出会いそこで勉強するようになったからということでした。自分ができないことも住学の仲間が出来たりするので、自信をもって受注できるようになったと言っていました。

 

 

僕も関西で「釿始」という会に属していて、毎月いろいろな工務店の方の現場を見たり、講師の方の話を聞いて学んでいます。これから釿始の中でコラボ案件なんかも出てくるんじゃないかとワクワクさせられる内容でした。釿始Facebookページ

 

まとめ

このツアーではエネルギーや地球環境に対する考え方や、知らなかった換気方式、建築コミュニティの大切さについて学びました。これからのAGING WELLの家づくりにどう活かしていくか考え、もう一段ステップアップしたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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