注文住宅の価格高騰が注目されている2023年。しかし、工夫次第でコストを抑えて注文住宅を実現する方法が存在します。本記事では、価格高騰への対策と、それを活用した成功例をご紹介します。小さくても豊かな暮らしを設計する方法、設計をシンプルにして構造のコストダウンを図る方法など、実践的な対策を中心に解説します。これから注文住宅を建てようと考えている皆様、費用対効果を最大化するヒントがここにあります。
注文住宅の価格高騰の背景
建築材料の高騰や人件費上昇、さらにはコロナ禍による供給網の混乱など、近年、注文住宅の価格高騰が大きな話題となっています。特に2023年に入ってからは、その傾向がさらに顕著になり、家を建てようと計画している方々にとっては大きな悩みの種となっています。
しかし、この価格高騰をただ嘆くばかりではなく、適切な対策によってこの状況を乗り越えることが求められます。そのためにはまず、注文住宅の価格が高騰する理由とその背景を理解することが必要です。
近年の価格高騰の一因として挙げられるのが、建築材料の価格上昇です。木材をはじめとした建築材料は、世界的な需要の増加や、天候による生産量の変動など様々な要因により価格が高騰しています。特に木材は、新型コロナウイルスの影響で生産が滞り、その結果として価格が大幅に上昇しました。
また、技術進化による高品質化の流れも価格高騰を引き起こしています。エコや省エネを始めとした高性能な住宅設備や建築材料が普及するにつれ、それらのコストが注文住宅全体の価格に反映されています。
さらには、人件費の上昇も無視できません。長年の建築業界の人手不足は深刻で、その結果、人件費が上昇し、それが価格に直接的に影響を与えています。
これらの要因が複合的に作用し、注文住宅の価格高騰を引き起こしているのです。ただ、これらの背景を理解した上で適切な対策を講じれば、価格高騰の波を乗り越え、理想的な住まいを手に入れることが可能です。その具体的な対策については、次の章で詳しく解説します。
価格高騰への対策1 – 小さく豊かに暮らす設計
価格高騰に対抗するための一つ目の対策として、無駄なスペースを作らずにコンパクトに設計することが挙げられます。一般的に、建築費は建築面積に比例するため、家全体の広さを抑えることで建築費を削減することができます。
コンパクト設計のキーとなるのは、多機能性と省スペース化です。例えば、書斎としても使えるリビング、ゲストルームとしても使える子ども部屋など、一部屋に複数の機能を持たせることで部屋数を減らし、結果的に家全体の広さを小さくすることができます。また、収納スペースを上手に計画することで、無駄なスペースを省き、よりコンパクトな家づくりを実現できます。
もちろん、コンパクト設計がすべての家庭に適しているわけではありません。家族構成やライフスタイル、将来のライフプランなど、多くの要素を考慮に入れて適切な設計をすることが必要です。しかし、ここに注目することで、無駄なく家を建てることができ、価格高騰という大きな波をうまく乗り越えることができるでしょう。
この価格高騰に対する対策として、さらには設計をシンプルにして構造のコストダウンを図る方法もあります。次の章では、その具体的な内容とそのメリットについて詳しく解説します。
価格高騰への対策2 – シンプルな設計
注文住宅の価格高騰に対する対策の一つとして、シンプルな設計を取り入れる方法について解説します。シンプルな設計とは、形が整形で単純なことだけでなく、構造区画が整った設計、直下率が良い設計、水平構面が確保された設計を指します。
具体的には、シンプルな設計により構造が単純になると、無駄に大きい梁や補強が入ることを避けることができ、結果としてコストを抑えることが可能になります。また、建築物の形状が複雑であればあるほど、施工は難しく時間もかかり、それがコスト高につながります。
シンプルな設計では、それらの問題を避けるだけでなく、施工がスムーズに進み、建築期間を短縮することができます。労働コストの削減という観点からも、シンプルな設計は建築費全体の抑制に寄与します。
しかし、シンプルな設計と言っても、デザイン性を犠牲にする必要はありません。質感を活かした素材選びや、配置の工夫により、シンプルながらも豊かな空間を創出することが可能です。
以上のようなシンプルな設計による価格高騰対策を活用して、自分たちの理想とする住まいを形にしましょう。次の章では、価格高騰の中で注文住宅を成功させる具体的な実例を紹介します。
価格高騰時における注文住宅の成功例
注文住宅の価格が高騰する状況の中で、どのように理想の家を形にしたのか、成功した実例をご紹介します。
2023年春竣工の弊社が設計・施工させていただいた泉佐野市のご家族は、予算に限りがある中で、夢の平屋を実現しました。その秘訣は「無駄なスペースを作らない」と「シンプルな設計」を心がけたことです。
まず、「無駄なスペースを作らない」という考え方を実現するために、お客様は生活スタイルを詳細に洗い出しました。ベッドルームやリビングは最低限の広さに抑え、集中したいときに使う小さな書斎や、趣味のためのスペースを設けました。さらに、キッチンとダイニングの配置を工夫し、スペースを省略しました。また、家の外に広がる空間や景色を切り取る窓を計画することで、家の中がコンパクトでも心理的な狭さを感じさせない工夫をしました。
次に、「シンプルな設計」を活用した方法です。お客様は、シンプルで整った構造区画と構造区画内の柱や梁を非構造間仕切り壁とするスケルトンインフィルの設計を選びました。これにより、建築物の形状が単純になり、施工が容易になっただけでなく、構造材のコストも抑制することができました。
結果として、お客様は予算内で、自分たちのライフスタイルに合った理想の注文住宅を建てることができました。このように、価格高騰時でも適切な対策を講じることで、理想の注文住宅を実現することは可能です。
将来を見据えた対策
今後の価格動向を見据え、長期的に見て経済的な注文住宅を建てるためのアドバイスを提供します。価格高騰を見据えた家づくりには、以下のポイントが重要となります。
- 長期的視野:価格が高騰する時期には耐久性のある質の高い材料を使用するなど、長期的な視点でコストパフォーマンスを考えることが重要です。
- 価格予測:建築材料の価格は様々な要素によって変動します。価格予測を行い、常に価格の変化に目を光らせることも大切です。
- 省エネ設計:高断熱・高気密などの省エネ設計を採用することで、長期的に見てランニングコストを抑えることができます。
これらの対策を踏まえて、価格高騰期でも長期的に見て経済的な注文住宅を実現することが可能です。
まとめ
注文住宅の価格が高騰する中でも、適切な対策を講じることで理想の家を実現することは可能です。無駄なスペースを作らずにコンパクトな設計をすること、シンプルな設計で構造のコストダウンを図ること、そして適切な購入タイミングを見極めることが有効です。さらに、省エネ設計を採用することで、ランニングコストを長期的に抑えることも重要です。具体的な成功例を通じて、これらのポイントの有効性を理解いただければと思います。価格高騰を見据えた家づくりの対策を心がけて、経済的な注文住宅を実現しましょう。