こんにちは。野澤工務店の野澤万里です。
このたび、住宅専門誌「建築知識ビルダーズ」に、野澤工務店の取り組みを掲載していただきました。建築知識ビルダーズは、工務店や住宅会社、建築実務者の方に読まれている住宅専門誌です。住宅のデザインや施工、性能、工務店の取り組みなどを、実例を交えながら深く紹介している媒体で、僕自身も以前から学びの多い雑誌だと感じていました。そのような誌面で、自分たちの家づくりや考え方を取り上げていただけたことは、とてもありがたいことです。

継受の家と、僕たちが大切にしていること
今回の記事では、僕の父が約20年前に建てた実家を、性能向上リノベーションによって受け継いだ「継受の家」について紹介していただきました。継受の家は、単に古くなった家をきれいに直した住まいではなく、今ある家をこれからの暮らしに耐えられる器として見直し、断熱・耐震・空調・素材・間取りを一つずつ整え直した家です。
家は、建てた瞬間だけで価値が決まるものではないと思っています。そこに家族の時間が積み重なり、子どもが育ち、暮らし方が変わり、やがて次の世代に受け継がれていく。その長い時間に耐えられることこそが、本当の意味での家の価値ではないかと感じています。だからこそ、僕たちは新築でもリノベーションでも、見た目だけではなく、命・健康・財産・そして将来の暮らしを守れるかどうかを大切にしています。
大工と建築士、その両方の視点から
誌面では、僕のことを大工であり、建築士でもある人間として紹介していただいています。現在の僕の仕事は、ほとんどが設計、提案、そしてブランド発信です。実際に毎日現場で作業をしているわけではありません。けれど、大工として現場に立ってきた経験は、今の設計や判断の中に確かに残っています。
図面の上ではきれいに見えることでも、現場で無理が出ることがあります。大工として現場の納まりや手仕事を知っているからこそ、暮らしやすさにつながる小さな工夫を設計に入れられることもあります。建築士として考え、大工の感覚で確かめる。この両方の視点があることは、野澤工務店の家づくりにとって大切な土台だと思っています。

性能は、暮らしを守るための土台
今回の記事の中でも、断熱や耐震、空調について触れていただきました。僕たちは、耐震性能、断熱性能、気密性能を特別なものとして扱うのではなく、安心して暮らすための前提として考えています。冬に寒くないこと。夏に無理なく涼しく過ごせること。地震のときに命を守れること。光熱費の不安を減らせること。家族が長い時間を落ち着いて過ごせること。そうした日々の安心のために性能があり、性能を高めることが目的ではないということです。
数値はもちろん大切です。けれど、その数値の先にどんな暮らしがあるのかを考えなければ、家づくりは少し違った方向に向いていってしまうのではないかと考えています。僕たちが目指しているのは、高性能な家をつくることではなく、性能を土台にして家族が長く安心して暮らせる器をつくることです。
これからの工務店に必要なこと
今回掲載していただいた記事を読みながら、改めて考えたことがあります。これからの工務店に必要なのは、ただ家を建てる力だけではないということです。
もちろん、施工品質や技術は欠かせません。耐震、断熱、気密、耐久性、素材の選び方も大切です。けれど、それだけでは足りない時代になってきていると感じます。家づくりは、完成して終わりではありません。完成してからの暮らし、メンテナンス、家族構成の変化、親から子へ受け継がれる時間まで含めて考えられる工務店が必要だと感じます。南大阪、熊取町という地域に根ざして家づくりをしているからこそ、遠くの誰かに大きく見せるよりも、近くで暮らす人に誠実でありたい。僕はそう思っています。
雑誌に掲載していただくことは、とてもありがたいことです。けれど、これも目的ではありません。大切なのは、掲載していただいた内容に恥じない仕事を、これからも続けていくことだと思っています。
一棟一棟の家に向き合うこと。現場で起きていることを見逃さないこと。素材や性能を流行で選ばないこと。お客様の将来の暮らしまで考えること。勉強してきた技術を後の時代に受け継ぐこと。そして、地域の中で誠実な仕事を積み重ねていくこと。今回の掲載は、野澤工務店にとって一つの節目になりました。同時に、これからも自分たちらしい家づくりを続けていくための、静かな約束のようにも感じています。
南大阪で家づくりを考えている方にとって、ただ新しい家を建てるだけではなく、これからの暮らしをどう整えていくかを考えるきっかけになればうれしく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。それではまた。


