こんにちは。AGING WELLの大工×建築士の野澤万里です。現在、僕が13歳のころに大工である父が建てた実家を買い取り、リノベーションしてパッシブハウス認定を取得しようという計画を進めています。2024年夏から解体を開始して、着々と工事を進めています。建築中のパッシブハウス(認定申請予定)について、工事の進捗を報告がてら連載形式で設計から完成までを追いかけていければと思います。今回はリノベの魅力について。
リノベーションを選んだ理由
なぜ新築でなくリノベーションしようと思ったのかについて。
実家が建つ場所は、住宅地の端の端でご近所との距離が遠く、さらに道の行き止まりです。近隣住民以外の人通りが少なく、車通りは僕たちか郵便屋さんくらいしかありません。子育てするにも、大好きな外遊びをするにも、人目やご近所を気にせず出来て暮らしやすいと思っていました。夫婦ともに「この場所で暮らしたい」という想いが強く、当初は実家を建て替えようか?という案が出ていました。
僕が13歳のころに建てられた実家は築18年で、まだまだ新しくて解体するにはもったいないという気持ちから、ほかの土地(新築用地)を探したりもしましたが、なかなか思うような土地に出会えずにいました。
丁度そのころに「構造塾」に通うようになり、木造住宅の構造についてより深く勉強し、自社の新築住宅の設計時に必ず守りたい「構造計画ルール」を定めました。この構造計画ルールを頭に入れた状態で実家の間取りを眺めていると、「実家の間取りが整っている」ことに気づいたのです。
大きさは4間(7.28m)×5間(9.1m)の真四角の総二階建てで、面積は1階2階を合わせて40坪です。少しずれているものの構造もおおよそ整っているように感じました。
既存住宅現況図面↓
リノベーションの設計の難しさ
26歳で建築士の資格をとり、今まで新築で設計に携わった物件は十数棟になりましたが、実は今回初めて大規模な間取り替えの設計をしました。最初はリノベだからパッシブハウス認定など取れるはずもないと勝手に思い込み、もともとの東側のリビングを活かして計画を進めていました。
当初の東リビングプラン↓
妻も東側リビングの間取りを気に入ってくれていて、これで進めようかというところまで進んでいたのですが、とある視察で兵庫県のリノベパッシブハウス(当時認定申請予定)を見学せていただき、リノベでも認定の可能性があることに驚きました。また大阪府内では、現在までたったの2棟しかパッシブハウスが建てられていないことや、リノベでパッシブハウス認定を取得することになれば、大阪では初めての事例になることも知りました。この日の帰りには、「これはもうやるしかない」と心の中で強い気持ちが芽生えたことを覚えています。
また、いつも一緒に学んだり、色んな所に視察に出かける他県の仲間の工務店がモデルハウスとしてパッシブハウスを建てるという話を耳にして、どうしてもチャレンジしてみたい気持ちになり、パッシブハウス認定に向けて南側をリビング(日射取得面)とする計画を練り直すことにしました。
南リビングの確定プラン↓
リノベの魅力
かなり話がそれてしまいましたが、リノベーションをすることの意義とその魅力について。
今回の計画がリノベになった一番のきっかけは、家族にとって住み慣れた土地であることと、父親が建てた思い入れのある住宅だからです。建築当時中学生だった僕は、毎日学校が終わると作業着に着替えて大工仕事を手伝っていたので、自分が手掛けた住宅であるという気持ちも強かったのです。
そういった理由から、「簡単には壊せないし壊したくない」という想いがあり、リノベーションという選択をしました。(ここだけの話ですが、、、)正直なところ、新築のほうが安かったのではないかという大改造計画に発展した今回の計画ですが、今まで感じたことのないような達成感を味わえること間違いなし!というところで、この計画を推し進めようと考えています。
長くなりそうなので今回はここまでにします。次回は、構造計画や実際解体してわかったことなどをまとめていきます。最後まで読んでいただきありがとうございました。それではまた。