釿始 × 住学 合同開催 性能のその先に僕らは何をつくるのか

2026.03.14

こんにちは。野澤工務店の野澤万里です。
先日、建築系フリーコミュニティである「釿始」(近畿・東海・中四国)と「住学」(新潟)の合同開催の勉強会が大阪で行われました。さらに北海道次世代の会(北海道)、さいたま家づくりネットワーク(埼玉)、レモンの会(広島)を加えた五団体による大きな勉強会となりました。会場には全国から工務店、設計者、職人、メーカー、販売店などさまざまな立場の人が集まり、約130名の参加者となりました。それぞれの立場で家づくりに向き合っている人たちが一つの場所に集まり、互いの経験を持ち寄りながら学び合う。そんな空気が会場全体に広がっていました。

 

 

釿始というコミュニティ

まず少し、「釿始(ちょうなはじめ)」というコミュニティについて紹介しておきたいと思います。釿始は、工務店、職人、設計事務所、メーカー、販売店、時には施主や学生も含め、立場を越えて「学び合う」ことを大切にしているフリーコミュニティです。2023年12月に発足し、2か月に1回の定例会を続けてきました。その時々でテーマを設け、発表や議論を通して家づくりを深めていく場になっています。僕も発足当初から運営メンバーとして関わってきましたが、2026年1月から二代目校長という役割を拝命しました。今回の合同開催は、そんな節目のタイミングでもありました。

 

 

住学 渡辺さんの発表

最初の発表は、住まいの学校(住学)から渡辺さんによる構造計画の話でした。構造というと難しい話になりがちですが、渡辺さんはSketchUp(スケッチアップ)という3Dソフトを使いながら立体的に説明してくれました。図面だけでは見えにくい構造の考え方が、三次元で示されることで一気に理解しやすくなります。構造という分野は家づくりの根幹にあるものですが、こうして可視化されることで、多くの人が同じ視点で考えることができるのだと感じました。

 

 

釿始 光山さんの発表

続いては釿始から光山さんの発表でした。テーマは、これまでの人生の分岐点と、これからの工務店経営についてです。光山さんは昨年末ごろ、とある工務店の後継者になることを決断し、それまで全く関わりのなかった会社に就職しました。さらに、今年7月には代表取締役になる予定という重大発表もありました。これまでの歩みを聞くと、プロ施主との出会い、中堅ビルダーのトップ営業マンとしての経験、そして目指している家づくり像との違和感からビルダーを離れ、地域工務店へ。その後独立開業し、そして今回の後継者という決断に至っています。人生の節目には必ず「人」と「出会い」があるという話が印象に残りました。実は独立開業を決めたきっかけの一つに、僕が以前伝えた言葉もあったそうです。そういう話を聞くと、人の人生に少しでも影響を与える言葉をかけていたのかもしれないと思い、不思議な気持ちになります。

 

 

五団体によるトークセッション

本編の最後には、五つの団体の代表者と新建新聞社の三浦祐成社長を交えてトークセッションが行われました。三浦さんは建築系メディア「新建ハウジング」を発刊している新建新聞社の社長であり、住宅業界では知らない人はいない存在です。今回のセッションには、住学、レモンの会、北海道次世代の会、さいたま家づくりネットワーク、そして釿始のメンバーが参加しました。地域も立場も違う団体ですが、それぞれが地域の中で学びのコミュニティをつくりながら活動しています。トークセッションでは「今までで一番失敗したこと」や「儲からない良い家は必要なのか」など、さまざまなテーマについて議論が交わされました。その中でも今回の大きなテーマになっていたのが「性能のその先に僕らはどう動くのか」という問いでした。高断熱・高気密といった住宅性能は広く普及し、今では多くの会社が高性能住宅をつくることができる時代になっています。だからこそ、その先に住宅会社は何を大切にしていくのかという議論が生まれていました。

 

 

僕自身は、もし多くの会社が同じような性能の家をつくれるようになったとしたら、「もの」で勝負をする時代は終わっていくのではないかと思っています。性能だけで選ばれるのではなく、「この人と家づくりがしたい」と思ってもらえるかどうか。そんな「人」が際立つ時代になっていくのではないでしょうか。

 

地域というキーワード

最後に三浦さんがまとめの中で使っていた言葉が印象に残りました。それは「ど地元。」という言葉です。結局のところ、僕たちの仕事は地元で信頼してもらえるかどうかにかかっています。どんなに立派なことを言っても、地域の中で信用されていなければ家づくりの仕事は続きません。逆に言えば、地域で信頼される仕事を積み重ねていけば、その先に仕事は自然と生まれてくるのではないかとも思います。信用というものは飛び級できるものではなく、時間をかけて少しずつ積み上げていくものです。今回のセッションを聞きながら、改めて僕自身も「地域の信用を得ること」にしっかり向き合っていきたいと感じました。

 

まとめ

釿始は、立場の違う人たちが互いに学び合うことを大切にしているコミュニティです。今回の合同開催では、会場に集まった多くの人たちが真剣な表情で話を聞き、議論を交わしていました。家づくりという仕事は、一人で完結するものではありません。さまざまな立場の人が関わりながら、少しずつ良い方向へ進んでいくものだと思っています。こうした学びの場を続けていくことが、結果として地域の家づくりを良くしていくことにつながるのではないでしょうか。最後まで読んでいただきありがとうございました。それではまた。

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